イーロン・マスクが描く「シンギュラリティ後」の8つの未来とは?

働き方

 

「働かなくても、全員が高い収入を得られる。でも、生きがいを失った人が暴れ、社会は混乱する」。

テスラやスペースXを率いるイーロン・マスクが、AIが人間の知能を超える「シンギュラリティ」の先に待つ未来について、こんな見通しを語っています。期待と不安が入りまじった、その8つのポイントを見ていきましょう。

1. 全員が高収入。でも社会は荒れる

マスク氏は、AIとロボットが富を生み出し、「ベーシックインカム(最低限の所得保障)」ではなく「ユニバーサル・ハイインカム(全員が高い所得)」の時代が来ると言います。ただし、そこに至る数年間は「かなり荒れる」とも。仕事を失う不安や恐れから、社会が不安定になる危険を、彼自身がはっきり認めています。

2. パソコン仕事の多くは、すでにAIで代わりがきく

体を使う仕事以外、つまり多くのデスクワークは、技術的にはAIがかなりの部分を肩代わりできる段階に来ています。あとは、どれだけ速く社会に広がるか、という問題だというのです。

3. 「お金」より「電力」が価値を持つ

マスクは、未来の通貨は電力(ワット数)になる、と語ります。AIを動かすには膨大な電気が必要で、その電気こそが、これからの豊かさを決める——そんな見方です。

4. 中国がAIの計算力で先行する

その電力で、いま世界をリードしつつあるのが中国です。マスク氏は、中国が太陽光発電を爆発的に増やし、発電量はアメリカの約3倍に達すると指摘します。チップ(半導体)ではなく電力こそがAI競争のカギであり、このままでは中国が計算力で抜け出す、というのです。どんなに高性能なチップを作っても、動かす電気がなければ意味がない——マスクはそう強調します。

5. AIを動かす場所は、宇宙が一番安くなる

地上では電力が足りなくなる。そこでマスクが注目するのが宇宙です。宇宙なら、雲も夜もなく太陽光を24時間使え、機械を冷やすための電池もいらない。彼は「36か月(3年)以内に、宇宙がAIを置く最も安い場所になる」とまで語っています。

6. 巨大な電池で、使える電力が倍になる

地上についても提案があります。夜のうちに電気を電池にため、昼に使う。これを徹底すれば、新しい発電所を建てなくても、使える電力を倍にできるという考え方です。

7. ロボットが、あらゆる欲望を満たす

AI、ロボット、そして超微細な技術(ナノテク)が、欲しいモノも健康も解決し、物質的な不足は地球から消える——マスク氏はそんな「豊かさの時代」を思いえがいています。

8. 最大の危機は「挑戦のない人生」

そして、最後の問いが重いのです。苦労も目標もない世界で、人は何を支えに生きるのか。マスクは、映画『ウォーリー』に出てくる、ただソファに寝そべる人々のような姿になりかねない、と警告します。

そんな未来は、天国か、無気力か?

まとめると、こうです。AIがあらゆる欲望を満たし、お金にも困らない「天国」が来る。けれど同時に、人は働く意味と生きる目標を失い、「無気力に落ちる」か「混乱に走る」かを迫られる。

もちろん、これはあくまでマスク氏一人の予測です。彼自身、具体的な実現方法までは示していませんし、「本当にそこまで進むのか」と疑う専門家も大勢います。実際、宇宙にAIを置く構想も、「今はまだ採算が合わない」という声は根強くあります。

それでも、この予測が投げかける問いは、考える価値があります。もし本当に「働かなくてよい未来」が来たとき、私たちは何に生きがいを見いだすのでしょうか。あなたは、どう思いますか。